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インタビュー

Looking Closely with Jun Oson

Jun Osonは鎌倉を拠点に活動するアーティストで、ユーモアやシュルレアリスム、そして日常への静かな感受性がバランスよく共存する作品を手がけています。彼のキャラクターは特徴的なピーナッツ型の顔ですぐにそれとわかり、人間、動物、ロボット、モンスターが、上下関係や説明を必要とせず自然に共存する世界の中を行き来しています。

マンガや西洋のポップアート、そして文化のあいだで生まれる歪みから影響を受けながら、Osonの作品はどこか親しみがありつつも、少しズレた感覚を持つ瞬間を捉えています。登場人物は立ち止まったり、待ったり、ただそこに存在していたりしながら、画面の外に広がる大きな物語の気配をほのかに感じさせます。

このインタビューでは、彼のビジュアル言語の変遷や、制作における観察の役割、そして目に見えないような小さな体験がどのように作品の感情的な流れを形づくっているのかについて話を聞きました。

初めてあなたの作品に触れる読者のために、まずはご自身と普段の制作活動について簡単にご紹介いただけますか。

私はアーティストでイラストレーターのJun Osonと言います。10年前に東京から鎌倉に引っ越してきました。自分のことを絵画作品で表現するアーティスト活動では、日本以外のアジア圏や、ヨーロッパ圏、アメリカ圏などでも展示をしています。商業的なイラストレーション活動では広告を中心に、グッズやアニメなんかも制作しています。どちらも同じレベルで大好きで、別け隔てなくやっております。

Junさんの描くキャラクターは、特にピーナッツの形をした特徴的な顔によってすぐにそれがJunさんのものだと分かります。この独自のビジュアル表現は、どのようにして生まれのでしょうか。

今から約20年前、地方都市でグラフィックデザイナーとして働いていましたが、自分が努めていたグラフィックデザインのスタジオはお世辞にも面白い仕事をしているとは言えず、「もっと楽しい仕事がしたい。自分を表現できるような何か…」と思うようになりました。そこで昔から得意であった絵を描いて仕事にするイラストレーターという仕事が思い浮かびました。その時に「イラストレーターになるにはタッチが必要だろう」と思い至り、当時好きだったイギリスのアーティストJames Jarvisの特徴的なポテトのような輪郭を参考にすることにしました。なぜかその時の僕は「頭部を特徴的な形にする必要がある」と思い込んでおり、いくつか形を検討して今の形状に落ち着きました。

Junさんの作品に登場する人物像は、どこか見覚えがあるようで、文化的・地理的にどこに属するのか特定しにくい印象があります。この曖昧さは意図的なものでしょうか。

20代の頃の私はそこまで強くそれを意識していませんでしたが、今となって振り返るとやはり意識していたと思います。私が青春時代を過ごした80年代、90年代は日本はアメリカやヨーロッパに強い憧れを持っていました。「日本はダサい、アメリカやヨーロッパはクール」という感覚の中で育ったのです。しかし、所詮は日本人。アメリカやヨーロッパの文化をそのまま持ってきたつもりでもどこかでそれは”和風”に変換されます。私はそういうのを見て「ダサいなぁ」と思っていましたが、今になって思えばその憧れから発生した歪みというのが私の中に染み込んでいったのです。むしろこういう歪みこそが面白いのでは?と思うようになり、今でも自分の作品にはそういう歪みのエッセンスを加えるようにしています。

Junの作品には、人間とモンスター、ロボット、または動物が同じ場面に登場することがよくあります。こうした異なる存在を同じシーンに共存させることに、どのような面白さを感じていますか。

私はこの辺りは日本の漫画に影響を受けていると思います。特に鳥山明の「Dr.スランプ アラレちゃん」などです。「スター・ウォーズ」なんかもそうですね。特に理由もなく、色んな生き物やロボットなどが混じって生活しています。シンプルに「色んな人がいたほうが楽しくない?」という意味合いです。

Junの作品には、静かでかつ、どこか少し不思議な雰囲気を感じさせるシーンが多く描かれています。例えば、人々が座っていたり、待っていたり、同じ空間を共有していたりする場面です。こうした日常のひとコマに惹かれる理由は何でしょうか。

この辺りも、もしかすると漫画の影響があるかもしれません。漫画はコマ割りが連続して話が出来上がりますが、それの一つを取り出すとすごく不思議なシーンとなります。例えば、「ドラゴン・ボール」の悟空がビックリしたワンシーンがあるとします。それだけ抜き出すととても不思議な空気を持つ絵になると思うのです。もしかしたらそういう意味ではロイ・リキテンスタインの影響もあるかもしれませんが、物語の中の一コマを抜き出すのは昔から好きです。

観察することは、あなたの作品において重要な要素のように感じられます。アイデアは、日常生活の中で気づいたことから生まれることが多いのでしょうか。

確かに私の作品制作において観察することは大きな意味があるかもしれません。できる限り色んな経験をしたいとは思っています。ただ、それが直接的に作品になることは少なくて、色んな経験を通して得たフィーリングだけが作品に影響する気がしています。

「日本はちょっとダサくて、アメリカやヨーロッパはクールだ」という感覚の中で育ちました。でも結局のところ、自分は日本人なんです。西洋の文化をそのまま取り入れようとしても、どこかで必ず“日本的”なものに変換されてしまうんですよね。

ハイキングやアウトドアで過ごす時間を楽しんでいるとお話しされていましたが、歩くことや自然の中で過ごすことは、いつ頃からJunさんの生活の一部になったのでしょうか。

自然の中で過ごすことが生活の一部になったのは意外と遅いです。明確にわかっていて、それは30歳の時です。妻と「将来ずっと続けられる趣味を見つけたい」と二人でハイキングを始めたのがきっかけでした。それまでもハイキングに誘われたりもしましたが「なぜ苦労して山に登るのか?」と断っていました。30歳から妻と低山から登りだし、いつの間にか山を含む自然の気持ちよさにハマっていきました。

自然の中で過ごす時間や体験は、Junさんの創作プロセスや作品についての考え方に影響を与えていますか。

与えていると思いますが、直接的ではないと思います。私はアウトドアの仕事でない限り、自然の風景を描くことはあまりありません。どちらかというと私にとって自然とは、自分のマインドをリセットするものかもしれません。

Junさんの作品は、日本のビジュアルカルチャーと西洋の影響の両方から着想を得ているように感じられます。そうしたJunさん独自の視覚的な想像力を形づくるのに影響を与えたアーティストやイメージ、メディアがあれば教えてください。

私にとって西洋のカルチャーは憧れではあるものの、自分の作品の土台になっているのは西洋のカルチャーを独自の解釈で作品に昇華させた日本人の作家だと思います。例えば、白根ゆたんぽさんや、若野桂さん、など。そういう意味では日本の雑誌、relaxやstudio voice、+81などはそういう日本独自の西洋文化解釈が載っていたので、すごく影響を受けていると思います。あとは、少し洒落た雰囲気の80年代、90年代の邦画も大好きです。

普段、スタジオではどのような一日を過ごしていますか。現在、作品の中で特に興味を持っていることや探求しているテーマは何でしょうか。

うちは子どもがまだ小さいので、夕方には帰らないといけません。なので基本的にはずっと仕事をしています。クライアントワークをペンタブで仕上げることもあれば、キャンバスに向かうこともあります。あ、でも昼寝は必ずします。絶対に昼寝の時間は作ります。他にはYoutubeで日本に旅行に来た海外の人のインタビューなんかも観ています(笑)。基本的には日本を褒めてくれてるインタビューですが、とても気分がよくなります。あと、推理小説も好きなので、隙間時間に数ページ読んだりしますね。

今、作品の中で興味を持っているのは、自分の普段のポップな作風とここ数年で始めた油絵というトラディショナルな画材を上手く融合させることです。先程「日本のビジュアルカルチャーと西洋の影響の両方から着想を得ている」と言われましたが、これもその一環かと思います。

Osonの世界では、すべてが過度に説明されることはありません。彼の作品は明確な分類を拒み、物語ではなく感覚を通して意味が立ち上がってくるような、ゆっくりとした見方を促します。

観察や日々の経験、そして世界の中を歩き回る時間によって形づくられた彼の絵画は、曖昧さや静かな内省のための余白を生み出しています。そうしたさりげなく、ときにユーモラスな瞬間の中で、私たちは日常が決して単純ではないことに気づかされます。

公開済み

インタビュー

Jonathan Rahmani

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Jun Oson

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